私には、この世に大切な妹が2人います。
ひとりは私が3歳の時に、もう一人は私が9歳の時にやってきました。
そのどちらとも産まれたての赤ん坊の頃をよーく覚えています。
最初にやって来た妹の方は、ある日突然お母さんのオッパイに吸い付いてる変なのが
いた!!という感じで、「ングッーングッッ」と喉を鳴らして飲んでいるのを不思議な思いで凝視していました。(←これが彼女との最初の思い出)
すぐに私と同じくらいの大きさになっていった妹1はとても笑顔が可愛らしく、
人前でも物怖じしない近所でも評判のアイドルで、誰の挨拶にもニコニコ。
無口で表情もない私とは対象な存在となっていきました。
利発で社交的、両親の言う事もすんなり聞ける妹1に自分がそう出来ないことのジェラシーをぶつけた時期もあります。
そんな妹1がアイロンに足をくっつけて火傷を負ったことがありました。
痛がって一日中泣いてる妹1。季節は冬。お風呂には入りたい。でも足が火傷で上手く入れない。仕方なく自分の膝を曲げてそこに妹1を座らせ、上手いこと火傷部が濡れないよう一緒に湯船へ。その最中も「痛ぁぃー。痛いとぉ、お姉ちゃーん」と訴えます。
けれど温まって気持ちが良いのか、そのうち鼻唄まじりで機嫌が良くなっていました。
お風呂から上がって着替えていると妹1が「お姉ちゃん、ありあとぉ」とニコッ。
それは妹からもらった最初のありがとう。
「daiちゃんは本当に優しいお姉ちゃんやね」と褒める母の言葉に
「そんなんじゃないよ、おねぇちゃんおねぇちゃーんって気持ち悪か」と悪態ぶりながらも嬉しかったのを今でもリアルに思い出せます。
それからかな、自分が単身ではなくて複数の中に生きていると自覚でき始めたのは・・。
妹1から遅れること6年。「お母さん、なんでそんなに太ったと?」と尋ねてから数ヶ月後に妹2は産まれました。
私はもう9歳。赤ちゃんが産まれるというのが分かる年齢。
妹1の時とは違い、その可愛さと小ささに感動すらありました。そして一番私を驚かせたこと。それは妹2が容姿も中身も私にそっくりだったというところ。
大きくなるにつれそれは極端になって行きます。歳が離れているせいか中々彼女と同じ遊びはできません。なので彼女は自分と同年代の子と遊びに外へ。
けれどその先で上手く人付き合いが持てない。自分を表現して人を惹き付けることが苦手。
そのストレスは大きく、よって家の中で爆発。大変に手を焼きました。いや・・手を焼いたのは母。私はもう感心を家庭内から外へとシフトする時期を迎えていて
母が奮闘しているのを横目に、やれバンドだ、ライブだ、友だちだ、と
母の苦労にも、妹2の悩みにも気づいていながら側に寄り添うことをしなかった。
これは今でも私をツクンと刺します。
高校を出てすぐに一人暮らしを始めた私。当時の妹2は小学4年生になりたて。
私は妹2と9年しか一緒に暮らしていません。
自活を始めて2ヶ月程して実家に帰った時のことです。
時刻は夕食時の午後7時、家族全員そろってます。
玄関を開けると一番に妹2が飛び出してきました。「お姉ちゃん・・おかえりぃ・・」
その顔はちょっと上目使いながらも嬉しいとハッキリ分かる、照れくさそうな表情。
近所のコンビにで買ったアイスクリームを袋ごと手渡すと
「あ、アイスクリーム!!お姉ちゃんがアイスクリームば買ってくれたぁー!」
まるで正月のお年玉のような喜びよう。「オーバーやねぇ、アイスクリームくらいで」
とまた悪態ぶったんですが、そーいえば私が妹たちにアイスを買ったのはこれが最初。
こんなに喜んでくれるんだったらまた買って来よう。今度はもっと良いものを。
私の心の中の妹2は今でもあのアイスに歓喜する笑顔のままで止まっています。
それから先の生活を共にしていないのもありますが、妹2自身がちょっと人よりスローなペースで成長したのも事実。ゆえにいつまでたっても子供な印象です。
そんな彼女が子供を産みました。7/30 AM3:00。2180gの小さな、でも元気な女の子。
AM9:00 家族そろって病院へ.私は姉として色々と声をかけようと準備していましたが、
病室で横たわりニッコリしている妹2を見ると、当たり障りないねぎらいの言葉しか出てきません。
今までに見たこともない大人びた(くたびれてたのもある)彼女の様子をみて
嬉しさと照れくささが混じった複雑な思いになってしまいました。
その時の私は、玄関でモジモジしていた小学4年の妹2と同じだったような気がします。
その日眠っていない私たちは帰り道に昼ご飯を兼ねて近所のロイヤルホストへ。
早速、生ビールで祝杯です。(私は無理、パラダイス・ティーで許してもらった)
妹1)「お姉ちゃん、もっと家に帰ってきぃよ。こうして赤ちゃんも産まれたし」グビー
母 )「そうよdaiちゃん。家族が増えたっちゃけん、もっと帰って来なさい、ねっ」グビー
・・ありがと。そう思ってくれて。
そうだなぁ・・今からでも遅くないなら、あの家でまたお姉ちゃんとしての時間を過させてもらいたいかもしれない。今度はそれぞれが独立した一個の大人同士、として。
美味しそうに何杯も生ビールを飲み干してはお替わりする母と妹1を眺めながら
そんなことをぼんやりと考えていました。
病院にて。横になっている妹2と、彼女の新しい家族の写真。